シュールホラー。
スタートから、シュール。
荒れ果てた大地の中に、細い道。
その道には、不規則に木の椅子が並べられています。
手前にはそれを並べたであろう男が立ち、奥から1台の車が登場。
男が見ている中、木の椅子を1脚ずつ車体に当てて壊しながら、ゆっくり車が進んできます。
シュール。
停まった車の中から人が出てくるんですが、もちろん運転席なんかではありません。
トランクがパカっと開いて、そこから男が登場します。
だって、シュールだもん。
男がカメラ目線で話を始めます。
「『E.T.』の宇宙人は、なぜ茶色なのか?」
「理由などない」
「『ある愛の詩』で、なぜ2人が恋に落ちるのか?」
「理由などない」
こんなことをずっと話していて、最後にこうまとめます。
「つまり、偉大な映画には必ず、理由なき需要な要素が入っている」
「なぜなら、人生それ自体が理由のない事の連続だからだ」
「みなさん、この映画は”理由がない”ことへのオマージュである」
「”理由なし”こそ表現の最強要素だ」
で、車に戻っていき、自らトランクに入り、車は去っていきます。
それと同時に引きの映像に変わり、10数名の人たちが登場します。
そう、男はこの人たちに話をしていたことになります。
続いて、木の椅子を並べたであろう男が、10数名の人たちに双眼鏡を手渡していきます。
「では、向こうを見て」
みんなが一斉にそちらを見始めてから、本番開始となります。
双眼鏡で覗いている遠い向こうには、土に埋もれたゴムタイヤが見えます。
そのゴムタイヤが、ちょっとずつ身をよじりながら、土から出てきて、走り出します。
最初はフラフラして、すぐに倒れますが、自力で起き上がって、また進みます。
そのうち、タイヤの前にペットボトルが登場。
タイヤはその手前でピタリと止まりますが、慎重にペットボトルに体重をかけていきます。
バキュッ という音とともにペットボトルは破裂しました。
続いて、空き缶が登場。
タイヤは先ほどと同様に空き缶の上に体重をかけますが、びくともしません。
すると、タイヤがブルブルと震えだし、その震えから見えない何かが空き瓶に衝撃となってぶつかったようで、空き瓶が バリンッ と破裂します。
続いて、鶏が登場。
タイヤは鶏の手前で止まり、ブルブルと震えだし、鶏が ボンッ と破裂します。
タイヤはどんどん進み、その先には人間が。
双眼鏡で覗いている人たちは、「まさかね・・・」 と思いながら見ていますが、やっぱりタイヤは人間の手前でブルブルし始めて・・・。
シュールな殺人タイヤ の誕生です。
もう少し、殺人の仕方にバリエーションがあったりすると面白そうですが、いつもワンパターンなのがちょっとね。
それでも、私はこのシュールさ、好きですよ。
タイヤが出す音も良いです。
リアルです。
すぐそばにタイヤがあるようです。
評価 7点
★★★★★★★☆☆☆
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