ラースと、その彼女
とある小さな田舎の町。
純粋な心を持つ青年の ラース は、ガレージを改造した家に住んでいます。
すぐ向かいにある実家には父の死後に越してきた兄夫婦が暮らしています。
いつも一人ぼっちの彼を心配して、兄嫁が食事に誘ったりしますが、ラース は何かしら理由を付けて断ります。
ラース は母親を知りません。母は出産後まもなく亡くなっているのです。
また、寡黙で人間嫌いだった父親のせいで兄も若いうちに家を飛び出したため、彼はいつも孤独でした。
職場に若い女の子が新入社員として配属されてきました。
彼女はいち早く ラース の純粋さやユーモアに気付いて、彼に惹かれていきますが、超オクテなラースにとっては、彼女のさりげないアピールさえも、心に痛みが走ります。
ある日、兄夫婦の家を訪ねた ラース 。
いつもは自分から来ることなどないですし、今日は機嫌がとても良さそう。
どうしたんだい?と聞く兄に ラース は話し始めました。
「今、ガレージに女性が来ているんだ」
一生独り身かと心配していた兄は喜びます。
「独身の男女だけで家に居るのは良くないと思って・・・」
「こっちに連れてきてもいいかな」
場面はリビングに移ります。
ソファに座る兄夫婦の顔が微妙です。
カメラが向いに座る ラース と彼女を映します。
彼女、等身大の人形です。
ジョークでもお芝居でもなく、ラース はその人形を兄夫婦に紹介します。本当の人間のように。
「お、お茶を入れてくるわ・・・、あなたも手伝って・・・」
キッチンに入った兄夫婦。
兄は頭を抱えながら言います。 「弟がイカレちまった」
人形を実在の女性と信じ込む ラース と、兄夫婦を含めた町全体の人々のお話。
コメディかと思っていましたが、全然違います。
たしかにコメディ色もあって笑いましたけど(兄夫婦に紹介するシーンとか)、人の優しさに包まれた良い作品です。
ちょっと泣いちゃった。不思議。
主人公の ラース を演じたのが Ryan Gosling です。
彼は きみに読む物語 の主人公もしていましたね。
私と相性が良いのかもしれません。
ラース に想いを寄せる女性を演じたのは Kelli Garner という女優さん。
私は初めて見ましたが、とても可愛らしくて、役柄と非常にマッチしていました。
優しさに触れたい方へオススメ。
なかなか良いです。
評価 8点
★★★★★★★★☆☆
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